みなさん、こんにちは。
埼玉県ふじみ野市のITサポートSORAの関口です。
最近は詐欺事件が多く、何が本当で何が嘘なのか見抜くことが難しくなっています。
先日、実家が契約しているケーブルテレビ会社(JC社)から、「ご自宅のテレビチューナーが故障する可能性があるため、訪問して点検させてほしい」という連絡がありました。
この電話は、結果的には詐欺ではなかったのですが、高齢者には騙されそうな訪問営業でした。その出来事をブログで共有しておきます。
JC社から「故障の可能性があるからチューナー点検をしたい」といういきなりの電話

先日、実家の固定電話にJC社を名乗る人から「ご利用中のケーブルテレビチューナーと同機種で不具合が多発しているので、ご自宅のチューナーを点検させてほしい」との電話がかかってきました。
母は「そうなのね。それでは○月○日に来てください」と応対したものの、その後「詐欺や強盗ではないか」と不安になり、私に電話してきました。
この話を聞いたとき、私はケーブルテレビは自宅に専用配線を引き込んでいるため、実家がケーブルテレビを使っているかどうかは見た目でわかるものであり、地域最大のJC社を名乗り「点検訪問」と言えば、高齢者を騙すことも可能だと直感しました。
そこで、すぐにJC社のサポート窓口に電話して「訪問予定がJC社によるものなのか」を確認したところ、JC社のサポートでも「訪問員がチューナー点検で訪問する予定です」との返答があり、詐欺ではないことを確認し、母に対応するように連絡しました。
チューナー点検後に息子さんと話をしたい・・・

点検当日になり、母から私に電話があり「訪問員が、今日の点検のあと確認のため、息子さんに電話したいと言っている。あなた電話に出られる?」とのこと。
なぜ、「チューナー点検のあとに息子に電話する必要があるのか? 実家でどのような会話があったのかわからないのに、確認の電話をされても対応できない」と思い、急いで実家に向かい、私が現地対応することにしました。
そもそも、数日前にいきなり「チューナーの訪問点検」を電話してきて、当日は「息子さんにも確認の電話をしたい」など、少し常識から外れている対応だと感じました。
少なくとも、まずは書面にて“チューナー不具合の恐れの案内”を出したうえで、電話にて訪問調整するべきだと個人的には思いました。
チューナー点検に来たのは営業代行会社の社員

実家に訪問員が到着。感じのいい若い男性スタッフ。
私はまず彼に、「なぜ書面で連絡しないのか。今回のJC社からの連絡で、高齢の両親が不安になった」と伝えました。
書面にて事前に連絡しない理由は、「JC社ではこれまで書面連絡してきたが、80%の人は書面を見ていない。また環境保護の観点から、書面での案内はやめて電話連絡のみにした」とのこと。80%の人が見ないからといって、書面を見る残りの20%を無視した対応には疑問を感じました。
訪問員から渡された名刺を見ると、「JC社委託先○○○株式会社 JC社説明員」と書かれています。直ちに○○○会社を調べると、営業代行会社のスタッフであることがわかりました。今チューナー点検に来ている彼は、JC社が委託している別会社(営業代行)の社員だったのです。
訪問員は父に「どんな番組を見てますか~」などと確認しながら機器のチェックを進めていき、「最後の機器チェックが15分ほどかかるので、この時間に説明させてください」と言いました。
私も一緒に説明を聞くことにしました。
説明ではなく4K放送の提案

最初は「JC社がどのようにしてテレビを映しているか」などの説明をした後、「JC社では機器更新を進めており、最近4K放送の対応を完了しました」と、少しずつ4K対応の話へとシフトしていきます。
次に、「最近は電気屋さんでも4K放送対応のテレビが増えていますよね。テレビがアナログからデジタルに変わったように、今後4K放送へと変わっていきます」といった感じで、4K放送が義務化されるようなニュアンスで、4K放送の必要性を説明。
そして、「ご自宅で4K放送を見るためには、ご自宅のブースターの更新が必要です。ご自宅のブースターは宅内機器のため、ご自身で交換するとなると4万円〜10万円がかかります。しかし、いまならJCでブースター交換を無料で行います。また、4K対応のチューナーに変えることで、テレビでYouTubeも無料で見られるようになります」と話を進めていきます。
最後に、「JC社で4K放送を見るにはブースター工事費10万円は無料となりますが、インターネット接続が必須になるため、インターネット契約が必要になります」とのこと。
ここまで訪問員が説明したとき、「インターネットの営業」であることに父が気づき、「もういいから点検だけしてくれ」と訪問員に伝えました。
結局、点検の結果、機器自体に問題はなく、彼は何もせずに帰っていきました。
今回のやり取りで感じた違和感

今回のやり取りで、私はいろいろなことに違和感を抱きました。
特に訪問員が心理テクニックを駆使して4K放送を契約させようとしていたことに、憤りを感じました。
その違和感を以下にまとめます。
- 書面で事前連絡をしない
今回、書面で事前連絡しなかったのは、4K提案営業が目的だったからだと思われます。 - 息子に電話確認したい
息子に電話連絡が必要だったのは、高齢宅で4K契約した後の承認確認が必要だったから。JC社では、70歳以上の高齢宅では安全のためご家族に連絡をするそうです。誰にとっての安全かは不明ですが…。 - 訪問員がJC社委託先の営業代行社員であること
訪問員は名刺は渡しましたが、自分の身分の説明をしませんでした。当然、両親はJC社のサポートスタッフだと信じていました。 - 訪問目的をしっかりと説明していない
今回は機器点検が目的化され訪問販売には当たらないと思いますが、実際には4K放送の提案営業でした。その場合、特定商取引法が該当すると思われます。
※特定商取引法では訪問販売を行う事業者に以下の説明義務があります。
・勧誘目的の明示:「販売目的で来ました」と最初に伝える必要があります(点検を装っての営業はNG)
・事業者情報の提示:会社名、住所、担当者名、商品内容などの明示が必要
・契約内容の書面交付:契約成立時には法定書面を渡す義務があります - 説明といいながら提案をする、しかもニーズ確認をしない
機器点検中に「説明させてください」と言われれば、誰もが「機器の説明」を想定するでしょう。
しかし実際には4K放送の提案。両親が「4K放送を見たい」という意志を示していないのに、説明が提案に切り替わっていくのはどうなのでしょうか。 - 4K放送が義務化されるようなニュアンス
「アナログからデジタルに変わったように、2~3年後には4K義務化が総務省から発表されるかもしれません」という伝え方。
アナログからデジタルに変わったのは国家による電波効率化のため。4Kは画質向上という付加機能です。義務化のように思わせる表現は、騙しに近いと思いました。(訪問員は「変わります」と断言していなかったので、形式上は騙しではありません) - 提案説明時にその都度、両親に答えさせる心理テクニック
「テレビはアナログから何に変わりましたか?」→「地デジ」→「お詳しいですね」と承認を重ねていくことで、断りにくい雰囲気を作っていました(特に父親) - ブースター交換工事費が10万円かかるように錯覚させる
最初に「4万~10万円かかる」と説明したあと、以降は「10万円かかる」としか言わず、「今なら10万円無料」と繰り返すことでお得感を演出していました。
後で調べたところ、4K視聴にブースター交換は必須ではなく、交換費も2~4万円が相場のようでした。つまり10万円という話も誇張だったと感じます。 - 4K放送を見るのにインターネット契約が必要という矛盾
4K放送を見るだけならインターネットは不要です。インターネットが必要なのは、チューナーのYouTube機能などを使う場合。
本来なら「放送」と「ネット機能」を分けて説明するべきですが、ひとまとめにした説明だったため、両親は4K視聴にインターネットが必要だと誤解していました。
営業的にはインターネット契約が最も利益になるのでしょう。
まとめ
今回、実家に訪問したスタッフは非常に優しい印象の方でした。なので、彼個人が悪いとは思いません。
しかし、地域大手ケーブル会社のJC社が「チューナー点検」と称して、営業代行会社のスタッフを派遣し、4K放送の提案をする。
しかも、4K放送が義務化され、チューナー交換費10万円が無料になるようなニュアンスで伝える方法には、違和感しか残りません。
個人的には即刻JC社を解約したいところですが、両親には「お気に入りのチャンネル」があるようなので、今回は現状維持としました。
今回の体験を通じて、「高齢者を狙った営業」が巧妙に進化していると感じました。
親切な点検に見せかけて、実は営業トークを展開するやり方。大企業がこうした手法を使っていることに、強い疑問を覚えます。
恐らくJC社では、同じような手法で4K放送の営業を進めていることでしょう。ご家族に高齢者がいらっしゃる方は、ぜひ注意を呼びかけてください。
もちろん、4K放送を見たいという希望がある場合は、提案に応じても良いと思います。
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