中小企業に高額なセキュリティ機器は本当に必要?導入前に考えてほしいこと

みなさん、こんにちは。

埼玉県ふじみ野市のITサポートSORAの関口です。

2026年後半は、情報漏洩に関するニュースを目にする機会が増えています。

私のところにも毎週のように、「あなたの個人情報が漏洩しました」といった内容のメールが届きます。

こうした情報漏洩のニュースをきっかけに、

「うちの会社もセキュリティ対策を強化しなくては」

と考える企業も多いのではないでしょうか。

もちろん、セキュリティ対策を意識することは大切です。

しかし、このようにセキュリティへの関心が高まっている時期だからこそ、本当に自社に必要な対策なのかを冷静に判断することも大切だと私は考えています。

特に注意したいのが、高額なセキュリティ機器の導入です。

セキュリティ対策は必要ですが、どれだけ高機能な機器を導入しても、自社の規模や業務内容に合っていなかったり、適切に運用できていなかったりすれば、十分な効果を発揮できません。

先日ご相談いただいた会社でも、多くのセキュリティ関連機器が導入され、毎月高額なリース料金を支払われていました。

今回は、この事例をもとに、「セキュリティ対策は多ければ多いほどよいのか?」ということについて考えてみたいと思います。

目次

リモートサポート

過剰なセキュリティ機器のリース料を支払っている

たくさんのセキュリティ機器が必要なのでしょうか

先日、とあるお客様から、

「我が社のセキュリティ機器が適切かどうか、一度見てほしい」

とのご相談をいただきました。

その会社では、社内で使用しているパソコンは5台ほど。主に事務・経理業務でパソコンを使用されています。

事務所に伺ってネットワーク環境や設置されている機器を確認したところ、会社の規模や業務内容に対して、かなり多くのセキュリティ関連機器が導入されていることが分かりました。

導入されていた主な機器は次のとおりです。

  • セキュリティ機能付きマネージドLANスイッチ
  • セキュリティ機能付きWi-Fiアクセスポイント
  • ファイアウォール
  • UTM
  • 光回線障害時のバックアップ用SIM切り替え機器

詳しくお話を伺うと、

「先代社長が業者に勧められるまま契約してしまい、現在も高額なリース料金を支払っている」

とのことでした。

そこで現在の社長から、こんな質問を受けました。

「これらのセキュリティ機器は、本当にすべて必要なのでしょうか?」

私はまず、

「機器が多いから安全とは限りません」

とお伝えしました。

大切なのは「何を導入するか」より「何を守るか」

何を導入するかではなく、何を守るのか

セキュリティ対策を考えるときに重要なのは、「どのようなセキュリティ機器を導入すればいいのか?」から考え始めないことです。

まず考えるべきなのは、

「自社にはどのような情報やシステムがあり、それをどのようなリスクから守る必要があるのか?」

ということです。

今回のお客様のパソコンを使った主な業務は、

  • 一般的な事務作業
  • 経理作業(クラウドサービスを利用)

でした。

また、ヒアリングや現地調査では、

  • 取り扱う情報の範囲が限定されている
  • インターネット回線が一時的に停止しても、業務への影響が比較的小さく、スマートフォンのテザリングで充分
  • 事務所内のパソコンは固定されている
  • 外部の人が社内LANへパソコンを接続する運用はない

といった状況も確認しました。

これらを踏まえると、まずはOSやソフトウェアのアップデート、ウイルス・マルウェア対策、適切なパスワード管理、バックアップなど、基本的なセキュリティ対策を確実に運用することのほうが重要だと考えました。

そのうえで現在の業務内容やネットワーク構成を考えると、次の機器については、見直す余地があると判断しました。

  • セキュリティ機能付きマネージドLANスイッチ
  • セキュリティ機能付きWi-Fiアクセスポイント
  • 専用ファイアウォール
  • 光回線障害時のバックアップ用SIM切り替え機器

一方、UTMについては、今回の環境でも一定の役割があると考え、継続して利用することにしました。

ただし、UTMは設置してあるだけで安心というものではありません。

  • どのような通信をチェックしているのか。
  • 脅威を検知した場合に、どのように通知されるのか。
  • そして、誰がログや検知結果を確認し、必要な対応をするのか。

ここまで考えて運用して、初めてUTMを導入する意味が出てきます。

高額なセキュリティ機器を導入すること自体が、セキュリティ対策の目的ではありません。

自社にとって何を守る必要があるのかを整理し、そのために必要な対策を選び、それを継続して運用する。

私は、それが中小企業にとって大切なセキュリティ対策だと考えています。

シンプルな構成を適切に管理する

シンプルな構成で適切に管理をする

今回のお客様からは、

「リース契約を見直してでも、もっとシンプルなシステムにしたい」

とのご要望がありました。

そこで、現在の業務内容やネットワーク環境を踏まえ、UTMについては継続して使用し、そのほかの機器については契約状況を確認しながら、市販のWi-FiアクセスポイントやLANスイッチなど、よりシンプルな構成へ見直していくことにしました。

もちろん、機器をシンプルにすればセキュリティ対策をしなくてもよい、ということではありません。

Windowsに搭載されているMicrosoft Defenderなどのセキュリティ機能を適切に利用し、Windows Updateや各種ソフトウェアを定期的に更新する。バックアップを取り、不審なメールやWebサイトを安易に開かない。

こうした基本的な対策を継続して行うことが重要です。

そして、これらの基本的な対策についてお客様にも説明し、今後の運用方法について確認しました。

セキュリティ意識が高まる時期だからこそ、高額な契約にはご注意を

高額なセキュリティ対策の契約には注意を

昨今の情報漏洩問題を受けて、セキュリティ機器やセキュリティソフトの導入を検討する企業は、今後さらに増えていくと思います。

セキュリティへの意識が高まること自体は、とても良いことです。

一方で、セキュリティ関連の機器やサービスには高額なものもあり、導入費用だけでなく、その後の保守や運用に継続的な費用がかかる場合があります。

また、社会的にセキュリティへの不安が高まっている時期だからこそ、その不安をきっかけにした提案についても、内容を十分に確認することが大切です。

先日、別のお客様から、

「PHPに問題があるので、WordPressから静的HTMLに切り替えたほうがよいと言われた」

というご相談もありました。

しかし、先日大きく報道されたPHPの脆弱性は、WordPress固有の問題ではありません。

「PHPに脆弱性が見つかった=WordPressをやめなければならない」ということではなく、問題の内容を確認したうえで適切な対応を判断する必要があります。

セキュリティに関する話では、このように「危険」という言葉だけが先行してしまうことがあります。

大切なのは、「危険だと言われたから契約する」「セキュリティのためと言われたから導入する」のではなく、本当に自社に必要な対策なのかを確認することです。

自社の規模や業務内容に合ったセキュリティ機器であれば、導入する価値は十分にあります。

しかし、自社で運用できない機器を導入したり、目的や必要性を理解しないまま高額な契約を結んだりすることは、避けたほうがよいでしょう。

まとめ

情報漏洩などのニュースを見ると、「うちも何かセキュリティ対策をしなければ」と不安になると思います。

もちろん、セキュリティ対策は必要です。
しかし、高額なセキュリティ機器を導入すれば安全になる、というものではありません。

大切なのは、まず自社の状況を把握することです。

  • 自社にはどのような情報があるのか
  • どのようなシステムやサービスを使っているのか
  • 何が止まると業務に影響するのか
  • どのようなリスクから守る必要があるのか
  • 導入したセキュリティ対策を誰が管理・運用するのか

これらを整理したうえで、自社に必要な対策を選ぶことが重要です。

パソコンやソフトウェアを最新の状態に保つ、Microsoft Defenderなどのセキュリティ機能を適切に利用する、バックアップを取る、不審なメールやWebサイトを開かない。

こうした基本的な対策を継続していくことも、立派なセキュリティ対策です。

そして、UTMなどの高度なセキュリティ機器を導入するのであれば、導入する目的を明確にして、検知結果やログを確認するなど、きちんと運用していく必要があります。

セキュリティへの不安が高まっているときほど、

「セキュリティのために必要です」と言われて、すぐに契約するのではなく、本当に自社に必要なのかを一度立ち止まって考えてみてください。

セキュリティ対策は、機器を購入することから始まるのではありません。

「自社には何があり、何を、どのようなリスクから守るのか」

そこを整理することから始めるのが、本来のセキュリティ対策だと私は考えています。

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