AIに聞いた結果、パソコントラブルが悪化する理由

みなさん、こんにちは。

埼玉県ふじみ野市の ITサポートSORA の関口です。

私は日々、パソコンやシステムトラブルのご相談を受け、問題解決のサポートをしていますが、最近、AIに相談した結果、かえって状況が悪化してしまう事例が増えています。

一刻も早く問題を復旧させようと、AIに解決策を聞いてみる。
その「なんとか自力で、最短で直したい」という切実な気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、その AIに安易に質問する行動が、実は「トラブルを悪化させる原因」 になってしまうケースが増えているのです。

便利なはずのAIが、なぜ「嘘」をつき、状況を泥沼化させてしまうのか。
その理由を考えてみたいと思います。

目次

リモートサポート

AIに聞いた結果、トラブルを悪化させた2つの事例

事例1:パソコンがインターネットに繋がらない。AIに聞いたところ……

さいたま市のAさんから、 「自宅のパソコンのインターネット接続が遅くなった。解決策をAIに聞き、その通りに設定変更したところ、一切インターネットにつながらなくなってしまった」 というご相談を受けました。

インターネットにつながらない状況だったため、Aさんのご自宅に訪問。

原因を調べたところ、IPアドレスとDNSの設定値に誤りがありました。

再設定すると、すぐにインターネットは復旧しました。

「どうしてIPアドレスをこの値に変更したのですか?」と伺うと、「ChatGPTの回答がその値だったから」とのことでした。

Aさんは「パソコンのインターネット接続が遅い」とChatGPTに相談し、指示された通りに設定を変更していく中で、
IPアドレスをDHCPから固定化し、DNSも変更してしまったようです。

しかし、IPアドレスやDNSの設定値は、利用しているネットワーク環境によって異なります。

AIの回答に出てきたサンプル値をそのまま入力した結果、通信できなくなってしまったのです。

なお、インターネット接続が遅かった本当の原因は、 ご自宅で使用していた Wi-Fi中継器の不具合 でした。
中継器を再起動するだけで、通信は安定しました。

事例2:Outlookが使えなくなり、AIに聞いたところ全てが消えてしまった……

神奈川県のBさんから、 「Outlookでメールの送受信ができなくなり、AIに聞いて設定変更したところ、メールが全て消えてしまった」 と、とても慌てた様子でお電話をいただきました。

すぐにリモートサポートでパソコンとOutlookの設定を確認したところ、 「どうしてこうなっているの?」と思うほど、設定が複雑に崩れている状態でした。

「どのような設定を変更しましたか?」と伺うと、 「AIに言われた通りに変更したため、自分でも分からない」とのことでした。

そのため、パソコンとOutlookのデータ状況を一つずつ確認し、時間をかけてOutlookを復旧しました。

今回の原因は、OneDriveのバックアップ機能が動作し、Outlook ClassicでPSTファイルが読み込めなくなっていたことでした。

本来であれば、Outlook Classicで PSTファイルを再読み込みすれば解決します。

しかしAIは、

  • Outlook Classicの プロファイル削除
  • Outlook Classicから Outlook New への切り替え

といった指示を出していたようで、それに従った結果、設定が完全に崩れてしまったのです。

AIに答えを聞いた結果のトラブルが急増している4つの理由

事例1・事例2以外にも、AIに相談し、その通りに設定を変更したことで、 さらに状況が悪化してしまったケースが増えています。

こうしたAI関連のご相談は、2025年後半から明らかに増加しています。

これは、AIが私たちの生活の中で、非常に身近な存在になった証拠でもあります。

そして今後、この種のトラブルは様々な業種でさらに増えていくと感じています。

その理由を4つ挙げます。

理由1:AIは「もっともらしい回答」を繰り返し、次の質問を提案する

AIには「ハルネーション」と呼ばれる、 事実に基づかない情報や、もっともらしい誤情報を生成してしまう現象があります。

さらに最近のAIは、次の質問につなげる設計になっており、 この ハルネーション × 対話の連鎖 が、事態を悪化させてしまいます。

例えば、 「Outlookでメールが送受信できない」と質問すると、

1回目:
「パソコンを再起動してください」

2回目:
「Outlookの設定を見直してください」

と、段階的に指示が出てきます。

しかし、最初の前提がハルネーションによって誤っていた場合、 誤った対策を何度も重ねていくことになります。

その結果、本来は簡単に直るはずのトラブルが、 どんどん複雑化していくのです。

理由2:知らないことほど、AIの回答を信じてしまう

例えば、 「日本一高い山は?」と質問して AIが「高尾山です」と答えたら、誰でも「間違っている」と分かります。

しかし、 「Outlook Classicでメール送受信できなくなった」と質問し、 「プロファイルが破損しているので、作り直してください」 と回答された場合、その正誤を判断できるでしょうか。

AIに質問する行為自体は同じでも、 その回答の正しさを判断できるかどうかは、質問者がどれだけ知識を持っているかに依存します。

事例1・事例2では、 「つながらない」「メールが使えない」という“現象”は分かっていても、 原因を切り分けるための前提知識がない状態でした。

そのため、AIのもっともらしい回答を疑えず、結果として、状況を悪化させてしまったのです。

理由3:「言葉の意味」を十分に理解できていない

私たちの思考やコミュニケーションは、すべて「言葉」を通して行われます。

これはAIを使うときも同じです。

例えば、事例1の「インターネットにつながらない」という状況ひとつ取っても、

・プロバイダ/回線/通信速度
・IPアドレス/DNS/DHCP
・Wi-Fi/ルータ
・パケットロス

といった、さまざまな言葉と仕組みが関係しています。

また、事例2の「メールが送受信できない」というトラブルでは、

・Outlook(Classic/New)
・プロファイル
・メールデータ(PST)
・POP3/IMAP/Exchange/Gmail
・メールサーバとパスワード
・サーバーポートやSSLの有無

など、さらに多くの専門用語が登場します。

これらの言葉の意味や技術的な仕組みを理解して、はじめて原因を正しく切り分けることができます。

しかし実際には、 言葉の意味や仕組みが分からないままAIに質問してしまい、 その結果、AIの回答の背景や前提を理解できず、誤った解答をそのまま信じてしまうケースが少なくありません。

このような現象は、ITに限らず、どの分野でも起こりうることでしょう。

※もちろん、お客様が専門家でない以上、 言葉の意味をすべて理解できていないのは当然のことです。
問題は「分からないこと」ではなく、 分からないまま重要な設定変更まで行ってしまう点にあります。

理由4:AIへの質問が十分に整理されていない

理由3とも関連しますが、AIがハルネーションによる誤回答をしてしまう背景には、 AIに伝えられる前提条件が不足していることも大きく関係しています。

例えば、Outlookでメールの送受信ができない場合でも、 質問の仕方によってAIの回答は大きく変わります。

質問例1
「Outlookでメールの送受信ができない。原因を教えて」

質問例2
「Outlookでメールの送受信ができなくなった。 現在はOutlook ClassicをPOPで利用しており、インターネット接続は正常。 この状況で考えられる原因を教えて」

このように、質問例2のほうが、 AIは前提条件を理解できるため、より正確な回答を返しやすくなります。

とはいえ、分からない人ほど質問が十分に整理できないのは当然のことです。

実際、私にご相談いただく際も、 多くの方は質問例1のような状態からスタートします。(もちろん、それで問題ありません)

そこから対話を重ねながら状況を整理し、 質問例2のように「何が分かっていて、何が分かっていないのか」を明確にしていく。

このプロセスこそが、人間によるサポートならではの役割だと感じています。


AIと上手に付き合う6つのプロセス

ここで浮き彫りになるのは、 「AIが出した回答の正誤を判断するだけの基礎知識が、質問者側に不足している」というリスクです。

AIは「魔法の杖」ではなく、 あくまで 「知識がある人の作業を効率化するツール」 です。

AIを活用するのであれば、次の6つのプロセスを意識してください。

1.AIはハルネーションを起こすと理解する

AIの回答はすべて「仮説」であり、必ず正しいとは限りません。

ハルネーションが起こりうることを理解し、鵜呑みにしないことが重要です。

2.自分が置かれている状況を表す言葉を集める

続いて自分が抱えている問題に関係しそうな言葉(キーワード)を洗い出します。

例:
・Outlook Classic
・POP3で受信
・メールサーバ名

3.言葉の意味を調べる

集めた言葉の意味を確認します。

例:
・Outlook Classicとは
・POP3で受信とは
・メールサーバ名とは

この作業自体は、AIを使っても構いません。

4.言葉と意味を理解したうえで質問を作る

2と3で整理した言葉を使って、質問文を作ります。

例:
「Outlook ClassicをPOP3で利用しているが、メールの送受信ができない。インターネット接続は正常」

質問が作れない場合は、無理にAIに聞かず、 専門家に相談した方が結果的に効率的です。

5.AIの指示と自分の操作を記録する

AIに質問してPCの設定変更を行う場合は、必ずログを残します。

例:
・Outlook Classicのプロファイルを削除した
・IPアドレスをDHCPから固定IPに変更した

失敗した場合でも、元に戻すことができます。

6.引き返す勇気を持つ

2~3回試して改善しない場合は、そこで止める判断が重要です。

傷は浅いほど、復旧も早く済みます。

困ったら、素直に専門家に聞く

正直なところ、 この6つを毎回行うのは 意外と手間がかかります。

効率化のためにAIを使っているのに、 その準備が面倒になるのは本末転倒です。

であれば、 「困った」と感じた段階で専門家に相談した方が、 結果的に早く・安全に解決できるケースが多いのです。

まとめ

AIが発達したおかげで、私たちは手軽にAIを使えるようになりました。

また、さまざまな業種でAIを活用するために、 技術情報や社内情報をAIに学習させ、業務効率化を検討されていることでしょう。

その結果、今後は多くの業務でAIが活用されていくようになると思います。

しかし、AIの回答の正誤を判断できない状況で、AIに依存していくことは非常に危険だと感じています。

よく「AIが人を支配する」と言われますが、 本質は「人間がAIに依存する」ことにあるのではないでしょうか。

AIは優秀な 助手 ですが、 責任者にはなってくれません。

AIを使うのであれば、 自分自身の知識と言葉を増やしていくしかないと思います。

そうでなければ、 AIに聞いた結果、かえって問題が複雑化していくケースが、 今後さらに増えていくのではないか―― 今回のサポートを通して、強く感じました。

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