みなさん、こんにちは。
ITサポートSORAの関口剛史です。
最近、OneDriveバックアップ機能に関するトラブルサポートのご相談が急増しています。
2021年4月にOneDriveバックアップ機能に関するトラブルのブログを公開しましたが、あれから2年が過ぎWindows11になってもその問題は継続しています。
また、Windows11になり、OneDriveが標準化されたこと、OneDriveの設定画面がわかりづらくなったことで、更に状況は悪化しているようにも思います。
今日は、「【2023年版】OneDriveバックアップ機能が起こす問題と対策」について書きます。
OneDriveとは
OneDriveとは、マイクロソフトのクラウドストレージサービスで、Windows11とクラウドを同期するアプリケーションです。
マイクロソフトアカウントでWindows11にサインインするとOneDriveが自動的に有効になります。初期設定のフリープランで保存できる容量は5GB。
Windows11から、パソコンセットアップ時にマイクロソフトアカウントが必須になり、そのままWindows11を使い始めると必ずOneDriveを使うようになります。
OneDriveが有効になると、OneDrive内のファイルに以下のアイコンがつきます。
OneDriveにはクラウドにデータを保存する以外に、主に2つの機能があります。
ファイルオンデマンド機能
ファイルオンデマンドとは、パソコンのOneDriveフォルダ内に保存されたデータを、すべてクラウドにアップロードすることで、パソコンの保存容量を節約する機能。
クラウド上にあるデータの見出しだけがパソコンに残され(雲のアイコン)、見出しをクリックするとデータがダウンロードされて、ファイルが開けるようになる仕組み。
ファイルオンデマンド機能は、パソコンの保存容量を節約するメリットの反面、インターネットにつながっていないとファイルが開けないデメリットがあります。
OneDriveの初期設定では、パソコンの保存容量が2TBあったとしても、ファイルオンデマンド機能は有効になっています。
バックアップ機能
OneDriveバップアップ機能は、Windows11パソコン内の以下のフォルダをクラウドと同期する仕組み。
- デスクトップ
- ドキュメント
- 写真
パソコンで作成したファイルを主に上記3つのフォルダに保存するので、3つのフォルダOneDriveクラウドと同期させることにより、パソコンが壊れたときにOneDriveからファイルを戻せるようにする。
OneDriveのバップアップを有効にすると、”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”のフォルダがOneDriveフォルダパスに変更されます。
■バックアップOFFの時のデスクトップのパス
c://users/ユーザ名/desktop
■バックアップONの時のデスクトップのパス
c://users/ユーザ名/OneDrive/desktop
Windows11のOneDriveの初期設定ではバックアップ機能は有効になります。
また、バックアップ機能を無効にしていたとしても、OneDriveの通知で「バックアップが提案」され、知らず知らずのうちに有効になっていることがあります。
OneDriveの問題点
OneDriveの仕様を理解しないで、OneDriveを初期設定のまま使うと以下のような問題が発生します。
1.OneDriveの保存容量を超えてエラーになる
フリープランでのOneDriveの保存容量は5GBです。
OneDriveへのアップロード対象ファイルが5GB以上あるとエラーが発生します。
特に、“デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”の3つのフォルダが保存容量が5GB以上ある状態で、OneDriveのバップアップ機能を有効にすると、ある程度アップロードされた時点で保存容量いっぱいとなり、アイコンに×マークがつき同期エラーとなります。
そして、OneDriveの管理画面から追加ストレージを購入するように勧められます。
問題は、パソコン内のデータ保存容量が5GB以上あるのに、バックアップ機能が中途半端に動いたあげくにいっぱいになり、有料プランを勧めることです。
2. ファイルオンデマンドが初期設定で有効になっている
ファイルオンデマンドとは、パソコン内のOneDriveフォルダ内に保存されたファイルを、すべてクラウドにアップロードすることで、パソコンの保存容量を節約する機能。
パソコンのハードディスクが2TBあったとしても、ファイルオンデマンドは自動的に有効になっています。
ファイルオンデマンドを有効にした状態で、ネットワークトラブルなどでインターネットにつながらなくなると、パソコン上のファイルが開けなくなります。
また、最近はファイルオンデマンドが有効なのか無効なのかを、設定画面から判断できないようになっています。
本来であれば、ファイルオンデマンド機能の初期設定は無効とし、必要な人だけにオンデマンド機能を使えば問題は起きないのですが、あえてオンデマンド機能を有効にしているところマイクロソフトの本当の思惑が込められていると思います。
3.バップアップ機能はパスが自動的に変わる
OneDriveのバックアップ機能を有効にすると、ファイル保存先のパスが変わります。
OneDriveのバップアップを有効にすると、”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”のフォルダがOneDriveフォルダパスに変更され、OneDriveにアップロードされます。
パスがOneDrive内に変更さることにより、OneDriveバップアップ機能を解除すると、”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”からファイルがすべて消えたように見えます。
・バックアップ機能がONの状態(デスクトップファイルが保存されている)
バックアップ機能をOFFにする
デスクトップからファイルが消え、OneDriveのアイコンだけが残る
正確には、OneDriveフォルダ内の”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”のフォルダ内にファイルはすべて残っており、そこからデータを戻せば問題ありません。
OneDriveバックアップを有効にしたときは自動的にパスを変えてOneDrive内にデータを取り込んだのに、解除したときは、手動でデータを戻さなければならないところが、大きな問題点です。
そして、多くの人はこのバックアップ仕様を知らないで使うため、データが消えてしまうように見えるバックアップを解除できず、仕方なく有料プランへ契約させられてしまうのではないでしょうか。
4.Outlookが起動しない・遅くなる
OutlookをPOP3方式で設定した状態で、OneDriveのバックアップ機能が有効になると、Outlookが起動しなくなる・遅くなる現象が発生しています。
主な原因は2つ。
OneDriveのバックアップ機能を有効にすることでPSTファイルのパスが変わり、Outlook側でその変化を認識できてない。
OutlookのPSTファイルがOneDriveのバックアップ対象となりクラウドと同期しようとし、OutlookがPSTファイルを開けなくなるからです。
以前は、PSTファイルは同期対象外となっており問題が回避されるようになっていましたが、Windows11では、その問題がかなりの確率で再発するようになっています。
5.同じマイクロソフトアカウントで複数のパソコンを使うとデータが壊れる
OneDriveのバックアップ機能の本質は”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”のフォルダを双方向に同期しているだけです。
例えば、メインのデスクトップPCとサブのノートPCを同じマイクロソフトアカウントでログインしバックアップ機能を有効にすると、デスクトップPCとノートPCの”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”フォルダがすべて同期されます。
この仕様故に、同一マイクロソフトアカウントで複数台のWindows11を使うと、複数のPC間で不本意にファイルがやりとりされてしまい、最悪データが破損します。
例えば、私はAmazonの電子書籍“Kindle”をWindowsでも使っているのですが、一部の電子書籍が開けない不具合が発生していました。
調べた結果、ドキュメント内に保存されている「MyKindleContent」フォルダが、OneDriveにより複数のPC間で同期されたことにより、KIndleのデータベースが破損したことが原因でした。
他にも、年賀状ソフトなどの住所録ファイルもドキュメント内にデータを保存するものが多いため、意図せずに同期してしまい、データの破損や個人情報データの漏洩につながる可能性があると思います。
6.OneDriveの仕様を理解せずに使える状態になっている
OneDriveは仕様を理解して正しく設定すれば、非常に便利な機能です。
しかし、OneDriveの問題の本質は、上記のようなOneDrive仕様や問題を説明することなく機能が自動的に有効化されることにあると思います。
Windows内のデータはユーザーの大切な所有物です。その大切なデータを、知らないうちに意図しないうちにバックアップ機能でクラウドにアップロードされる。
しかも、ファイルオンデマンド機能が有効になっているため、パソコン内のデータがすべてクラウドに吸い上げられ、無理にOneDriveを止めようとするとデータが消えたような動きをする。
OneDriveの問題は、OneDrive機能にあるのではなく、OneDriveの展開方法に問題があると思います。
OneDriveバップアップを無効にする方法
多くのOneDriveの問題は、OneDriveのファイルオンデマンド機能とバックアップ機能より発生します。
よって、対策としてOneDriveのファイルオンデマンドとバックアップ機能を無効にすれば問題は解消されます。
OneDriveファイルオンデマンドとバップアップ機能を無効にする方法についてお伝えします。
1.オンデマンドを解除して、すべてのデータをパソコン内にダウンロードする
まず、OneDriveの設定画面からファイルオンデマンド機能を解除し、OneDriveにアップロードされた、すべてのフォルダ・データをパソコンに取り戻します。
2023年6月現在、OneDriveのファイルオンデマンド設定画面は2種類あることを確認しています。
以下の画面では、ファイルオンデマンドをオフにする。
以下の画面では「すべてのファイルをダウンロードする」をクリックする
2.OneDriveバップバップアップ機能を停止する
OneDriveからのフォルダ・ファイルのダウンロードが終わったら、OneDriveバップアップ機能を停止します。
ここからは従来のバックアップ機能を停止した際の説明をします。
ここではデスクトップ上のデータの戻し方を説明します。ドキュメントと写真も同じ手順で戻します。
デスクトップのバックアップ機能を無効にする。
確認画面でバックアップの停止をクリック
デスクトップ上からファイルが消えてOneDriveのアイコンだけが残る。
3.デスクトップ・ドキュメント・写真のファイルを戻す
OneDriveフォルダ内の”デスクトップ”・”ドキュメント”・”写真”フォルダ内の全データを定位置に戻します。
ここでは、デスクトップ上のファイルを戻す方法を解説します。
デスクトップ上のOneDriveのアイコンをクリック。OneDrive内のデスクトップフォルダが開きます。
OneDrive内デスクトップフォルダのすべてのファイルを選択してコピー
パソコンのデスクトップフォルダ(c://users/ユーザ名/desktopフォルダ)を選択して、ファイルの貼り付け。
デスクトップにファイルが戻り、ファイルが正常に開けることを確認する。(この際に、ショートカットの並びは変わります)
必要に応じて、OneDriveのデスクトップフォルダ内のデータを削除する。(今後、OneDriveのバックアップを使う予定がある方は、この時点でOneDriveのデスクトップフォルダデータを削除することをオススメします。)
OneDriveの警告画面が表示されたら「了解しました」をクリックする
上記の手順で、ドキュメント・ピクチャフォルダのデータも戻します。
4.OneDriveを終了する
OneDriveを終了させて、アプリ・Outlook・ファイル類に問題がないことを確認します。
OneDriveの停止方法もバージョンにより異なります。
OneDriveメニュー内にOneDriveの終了がある場合
OneDriveメニュー内にOneDriveの終了がない場合
OneDriveの自動起動を停止する方法
Windows11では、OneDriveが標準アプリとして自動起動するようになっています。
「OneDriveを使いたくない」と思う方はOneDriveの自動起動を停止しておくといいかと思います。
OneDriveの自動起動を無効にするには、Windows11 設定 →アプリ →スタートアップからOneDriveの自動起動をOFFにします。
まとめ
OneDriveは正しく理解し正しく使えばとても便利な機能です。
しかし、OneDriveに「バックアップできます」とメリット面だけを伝えて、ストレージ容量の問題やファイル同期のトラブルについて触れないのは、悪徳業者の宣伝と一緒です。
おそらく、マイクロソフトの本当の狙いはデスクトップ・ドキュメント・写真のデータをバップアップさせることにより、フリープランから有料プランに切り替えさせることだと思います。
こんなことを続けていると、Windowsの終わりを迎えるも近いと思います。OSに求めるものは拡張性ではなく安定性だから。
ここまでお読みいただき、ありがとうございまいした。
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