みなさん、こんにちは。
埼玉県ふじみ野市のIT・パソコンサポートSORAの関口です。
先日、Windows10の大型アップデート20H2機能更新プログラムがリリースされ、順次適用されています。
Windows10の大型アップデートでは、知らない間に機能追加や仕様変更などが行われ、それが問題を引き越すことがあります。
先日、複数台のパソコンのOutlook設定サポートを行ったところ、OutlookのPSTファイルがOneDriveの自動バックアップ対象になっており、そのまま設定するとOutlookで問題が起こることに気づきました。
今回は「OutlookとOneDrive自動バックアップの問題を改善する方法」について書いていきます。
OneDriveバックアップの仕組み
OneDriveとは?
OneDriveとは、Windows10標準のクラウドサービスの名称。
マイクロソフトアカウントでWindows10にログオンし、OneDriveフォルダにデータを保存するとインターネット上のクラウドにも自動的に保存される仕組み。
OneDriveには無料版と有料版があり、無料版は保存容量が5GB、Offceのサブスクリプションライセンス「Microsoft 365 Personarl」などの有料版の保存容量は1000GBとなる。
複数台のパソコンで使うとOneDrive内のデータは自動同期されるため便利。
例えば、自宅・事務所のメインパソコンと外出用のサブパソコンにOneDriveにデータを保存ておけば、外出先でもOneDrive上のファイルにアクセスできるようになる。
OneDriveバックアップ機能とは
OneDriveバックアップ機能は、パソコン内の「デスクトップ」・「ドキュメント」・「写真」フォルダのデータが自動的に同期される機能。
以前のOneDriveでは、OneDrive内に保存したフォルダ・データのみがクラウドと同期される仕組だったが、最近はバックアップ機能として3つのフォルダが自動同期されるようになっている。
バックアップ機能を有効にしておくことで、パソコンのハードディスクが故障したときにOneDriveから3つのフォルダのデータが復旧できるメリットがある。
しかし、このバックアップ機能はパソコンの内のデータをアップロードするのではなく、フォルダを同期する仕様のため、正しく設定をしないと問題が発生する。
例えば、メインパソコンの写真フォルダに大容量のデータが保存されていて、それがOneDrive上にバックアップされるとOneDriveの容量を圧迫し容量オーバーになる可能性がある。
また、サブパソコンを利用している場合、意図しないデータがサブパソコンに同期されてしまい、アプリエラーにつながる可能性がある。
今回ご紹介する「OutlookとOneDrive自動バックアップの問題」もそのひとつ。
OutlookとOneDrive自動バックアップの問題
Outlookのデータ保存先
まず、Outlookとはマイクロソフトのメールソフトで、多くの人が利用している。
OutlookのデータはOutlookに登録されているアカウント(メールアドレス)毎にPSTファイルで管理される。
PSTファイルの保存先は”IMAPアカウント”と”POPアカウント”で異なり、POPアカウントのPSTファイルの標準保存先は以下の場所となる。
C:/Users/user name/ドキュメント/Outlookファイル
OutlookとOneDrive自動バックアップの問題点
ここまでの話を整理すると、以下のとおり。
- OneDrive自動バックアップは「ドキュメントフォルダが自動バックアップ」される
- OutlookのPOPアカウントのPSTファイルは「ドキュメントフォルダ内に保存」される
OneDriveとOutlookを標準設定のまま使うと、OutlookのPSTファイルがバックアップ対象となり、以下3つの問題が発生する。
問題1 頻繁に同期が発生する
Outlookの仕様ではメール1件の送受信をすればPSTファイルが上書きされる。
OneDriveの仕様ではデータが上書きされれば自動的に同期される。
OutlookのPSTファイルは随時更新されるため、頻繁にOneDriveとの同期が発生する。
また、OneDriveの容量がいっぱいになると、OneDrive上にデータが書き込めなくなるため、Outlookが使えなくなる。
問題2 同期に時間がかかる
Outlookは長く使うとメールデータ容量が増えてPSTファイル容量も大きくなる。その結果、OneDriveの同期に時間がかかるようになる。
例えば、Outlookファイルが1GBのデータ量で、その状態でメールを1件でも受信するとPSTファイルが更新され、都度1GBのデータをOneDriveと同期することになる。
問題3 複数台で使うとデータ不整合が発生する
OneDriveのバックアップ機能の実際はフォルダ内のデータを同期するだけのもの。
複数台のパソコンでOutlookとOneDriveを使うと”/ドキュメント/Outlook ファイル/内のPSTファイルが同期されてしまいOutlookのデータ不整合が発生する
例えば、メインパソコンでOutlookを開いて次にサブパソコンでOutlookを開くと、異なるPCでひとつのPSTファイルを開くことになり、データの整合性が保てなくなる。
下記のエラーは、異なるPCでひとつのPSTファイルを開いたことにより、片方のPCのPSTファイルがリネームされ「MicrosoftOutlookを起動できません。Outlookウィンドウを開けません」と表示されるようになった。
本来、PSTファイルを異なるPC間で共有して使うことは推奨されていない。にもかかわらず、異なるPCのPSTファイルがOneDriveで同期されてしまうことが、問題の本質となる。
2021年4月15日 追記
OneDriveの仕様変更により、ドキュメント内のOutlookのPSTファイルは同期対象外になりました。
ドキュメント内にPSTファイルがある状態でOneDriveのバックアップ機能を有効にすると同期エラーとなるようになりました。OutlookをPOPアカウントで使用して、OneDriveのバックアップ機能を有効にしたい場合は、以下の手順でPSTファイルを別のフォルダに移動する必要があります。
OutlookとOneDrive自動バックアップを改善する方法
この問題を解消するには、OneDriveの自動バックアップからOutlookのPSTファイルを除外すること。
PSTファイルを除外するには以下2つの方法がある。
OneDriveの同期設定からOutlookファイルを外す
OutlookのPSTファイルを別の場所に保存する。
OutlookのPSTファイルの保存先をドキュメント以外に変更する。
設定方法は以下のとおり。
Outlookを立ち上げ「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
「データファイル」タブからPSTファイルの保存先を確認し「ファイルの場所を開く」をクリック
Outlookを閉じる。エクスプローラを1階層上げて「Outlookファイル」のフォルダをコピーする
OneDriveバックアップの対象外の場所に「Outlookファイル」フォルダを貼り付ける
再びOutlookを立ち上げて、「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
「メール」→「フォルダーの変更」をクリック
「新しいOutlookデータファイル」をクリック
先ほど貼り付けた「Outlookファイル」フォルダの中から、該当PSTファイルを選択
「データファイル」タブでファイルパスが変わったことを確認し、上記で選択したPSTファイルを「既定に設定」をクリック
1度メールの送受信を行いエラーが発生しないことを確認し、Outlookを1度閉じる
再度Outlookを立ち上げて「データファイル」タブから「古いPSTファイル」を削除
上記をOutlookに設定されているPOPメールアカウント分を繰り返す。
最後にOneDrive/ドキュメント/Outlookファイル フォルダを削除する。
まとめ
Windows10は定期的にバージョンアップをしていますが、そのたびに仕様が変更になっていたり、初期設定が変わっていたります。
その結果、予期しないトラブルが発生し、バージョンアップの度にトラブル解決に無駄な時間を投資する羽目になります。
多くの人がWindows10に求めるのは安定して使える静かなるOSです。
OneDriveのクラウドや自動バックアップなどの機能は標準機能にするのではなく、オプションとして使えるようにし意図的に動かすようにしておかないと、利用者の知らないところで勝手にクラウドにデータが保存されたり自動的に同期が行われ、問題を引き起こすことになります。
今回ご紹介したOutlookとOneDriveの問題は、Outlookを長く使いPSTファイルが肥大化したときに「Outlookが使えない」問題として表面化してくると思います。
そうなる前に、OutlookのPSTファイルをOneDriveの自動同期から外して置くことをオススメします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (6件)
有益な情報ありがとうございます!
大変助かりました
気がついた点をご報告します。
OutlookとOneDrive自動バックアップを改善する方法
-OneDriveの同期設定からOutlookファイルを外す
この方法ですと、選択同期から外すと同時にPC上からもデータが消えます。(従って、要事前バックアップ or ブラウザ等でOneDriveからダウンロード)
改めて C:\Users\(ユーザ名)\OneDrive\Documents\Outlook ファイル にデータを格納しようとすると、PCとクラウドのファイル衝突が検出されます。
従いまして、
OutlookのPSTファイルを別の場所に保存する。
の方法が安全な対応になると思います。
お気づきの点をお知らせいただきありがとうございます。!
再度検証したところ、OneDriveの同期設定からOutlookファイルを外すとローカルからデータが消える現象を確認しました。
ブログ内容も「OutlookのPSTファイルを別の場所に保存する」のみに修正しました。
ご丁寧なコメントいただけて大変助かりました。ありがとうございます。
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