みなさん、こんにちは。
埼玉県ふじみ野市のITサポートSORA、関口です。
先日、ふじみ野市の士業のお客様より、「クラウドのバックアップを取りたい」とのご相談をいただきました。
今回は、そのご相談内容と、実際に導入した対応策についてご紹介いたします。
クラウドバックアップの必要性

お客様から詳しく状況をお伺いしたところ、現在は「BOX社のクラウドサービス」をご利用中とのことでした。
主に、外出先(顧客訪問時)や事務所・在宅勤務の社員間でのデータ共有を目的としており、業務データの大半がBOX上に保存されている状態です。
しかし、以下のようなリスクを想定され、クラウドとは別に、事務所内で業務ファイルに即時アクセスできる体制を整えたいとのご要望をいただきました。
- インターネット接続の不具合や遮断により、クラウドへのアクセスができなくなるリスク
- BOX社のシステム障害による一時的なデータ利用不可(最悪の場合、データ消失の可能性も)
- 社員による誤削除(※BOXでは30日間の復元猶予あり)
現在は、BOXの同期アプリ「BOX Drive(ファイルオンデマンド形式)」をご利用中で、
ファイル同期型の「Box Sync」は使用されておらず、すべてのファイルをローカルに保持しているPCも存在しない状況でした。
※ファイルオンデマンドとは、ファイルを使用する際にのみ必要なデータをダウンロードする仕組みです。
さらに、以下のような追加のご要望もいただきました。
- 複合機で受信したFAXやスキャンデータを自動的にBOXに保存し、在宅勤務の社員と共有したい
これらのニーズに対応するため、Synology社製NAS(ネットワークストレージ)の導入をご提案いたしました。

提案の理由は、Synology製品が高い安定性を備えており、専用アプリの導入によって柔軟な運用構築が可能な点、
そして私自身がOneDriveのバックアップ用途として同社のNASを利用しており、これまで一度もトラブルがなく非常に信頼できる製品であると感じているためです。

提案内容:Synology NASの活用

Synology NASを導入することで、以下のような運用体制を構築できます。
- BOXとNASの自動同期
- NAS上のデータを外付けHDDに自動バックアップ
- バックアップスケジュールの設定:
- 毎日1回、直近7日分を保存
- 毎月1回、過去12か月分を保存(最長1年前まで復元可能)
- NASおよびBOXの同時障害発生時も、外付けHDDをWindows PCに接続することでデータへ即時アクセス可能
- 複合機からのFAX・スキャンデータをNASに保存し、BOXと自動同期
導入機器と初期設定

導入した機器は以下のとおりです。
- Synology NAS:DS224+
- 外付けHDD:2台
初期設定として、以下の作業を実施しました。
- NAS OSのインストール
- RAID構成の設定
- ユーザーアカウントおよび共有フォルダの作成
- 以下のアプリをNASにインストール:
- Cloud Sync(BOXとの双方向同期)
- exFAT Access(HDDフォーマットの互換性対応)
- USB Copy(外付けHDDへのバックアップ)
Cloud Syncの設定

「Cloud Sync」アプリを使用し、NASとBOXの共有フォルダを双方向で同期するよう設定しました。
この構成により、以下のようなデータ連携が実現されます。
- BOX上のファイルがNASに自動ダウンロード
- NASに保存されたFAX・スキャンデータがBOXに自動アップロード
USB Copyの設定

Synologyには高度なバックアップソフト「Hyper Backup」も用意されていますが、
NAS障害時に即座に業務ファイルへアクセスするという用途には、復元操作がやや煩雑です。
そのため今回は、外付けHDDに直接ファイルをコピーし、Windows PCからすぐにアクセス可能な構成を重視し、「USB Copy」アプリを採用しました。
バックアップスケジュールは以下のとおりです。
- 毎日1回:過去7日分を保存
- 毎月1回:過去12か月分を保存
複合機の設定変更
事務所内の複合機にて、FAX受信データおよびスキャンデータをNASの共有フォルダに自動保存する設定(SMB接続)を行いました。
この設定により、NASとBOXの連携を通じて、在宅勤務の社員とも即座に共有可能な環境が整いました。
NAS設定書の作成とお渡し

すべての作業完了後、NASの設定内容をまとめた「NAS設定書」を作成し、お客様へお渡しいたしました。
設定書を用意しておくことで、担当者が退職された場合やトラブル発生時にも、誰でもNASの設定状況を把握できる体制となります。
まとめ
クラウドサービスは非常に便利である一方、万一の障害やオフライン環境に備える体制の構築も欠かせません。
今回導入したSynology NASにより、BOXとの連携を維持しつつ、独立したバックアップ運用が可能な体制が整いました。
「安心」と「柔軟性」を両立したファイル管理環境を実現できた好事例といえるでしょう。
さらに、Synology NASには「Synology Drive」機能も搭載されており、
この機能を活用することで、在宅勤務社員が直接NASにアクセスし、ファイルを共有・編集できる仕組みを構築することも可能です。
今後の多様な働き方にも柔軟に対応できる、非常に有用な製品ですので、クラウドバックアップ用途としてもオススメです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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